当院で多く診ている症状 当院で多く診ている症状

1.月経不順

月経周期が25~38日で、周期ごとの変動が6日以内なら正常です。月経不順の方は、視床下部-下垂体、甲状腺、卵巣のいずれかに異常があります。卵巣の異常では多嚢胞性卵巣症候群など卵巣の働きがよくない場合もあります。超音波検査や血液検査でホルモンを調べたりして診断します。

2.月経痛

月経時の痛みの強さや感じ方には個人差はありますが、日常生活に影響があるほどの場合は月経困難症として診察や超音波検査をお勧めします。必要に応じて血液検査も実施します。月経困難症の原因としては子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などが考えられ、これらの場合には排便痛や性交痛を伴う場合もあります。特に原因となる病気が見当たらない場合もあります。治療は鎮痛剤のほかに低用量ピルや黄体ホルモン剤などのホルモン療法が中心ですが、漢方薬を用いる場合もあります。

3.月経量が多い (過多月経)

月経量を他の人と比較することは難しいでしょうが、拇指頭大より大きな血の塊が出たり、夜用のナプキンを使用しても漏れる心配がある場合は多いと考えられます。月経量が多くなる病気としては子宮筋腫や子宮腺筋症、ときに子宮内膜ポリープなどが考えられますが、特に原因となる病気が見当たらない場合もあります。治療方法としては、低用量ピルあるいは止血剤の内服やミレーナ®の子宮内への挿入(挿入できない場合もあります)などがありますが、手術を必要とする場合もあります。血液検査で貧血になっている場合はその治療も行います。

4.月経前の困った症状
(月経前症候群PMS・月経前不快気分障害PMDD)

月経前の時期にむくみ、だるさ、便秘、にきび・肌荒れ、眠気、食欲増加、イライラ感などが見られることがありますが、程度がひどく日常生活に支障がある場合を月経前症候群(PMS)と呼んでいます。特に気分の落ち込み、不安感、怒りっぽくなる、涙もろくなるなどメンタルな症状が強い場合を月経前不快気分障害(PMDD)といいます。なおPMSとPMDDははっきり区別できない病状です(PMDs)。原因としては、排卵後に分泌される黄体ホルモンの作用や卵胞ホルモンの変動(低下)が考えられています。低用量ピルによってホルモンの状態を安定させたり、漢方薬で症状を軽くさせたりしますが、場合によっては抗うつ剤や精神安定剤が必要となることもあります。

5.おりもの・かゆみ

かゆみの原因としては、カンジダ症やトリコモナス膣・外陰炎、軽症のかぶれによる外陰炎などが考えられます。おりものについても同様ですが、細菌・クラミジア・淋菌がおりものの増加の原因になってる場合もあります。原因を検索して治療を行います。

6.下腹部痛

クラミジアや淋菌やその他の菌の感染によるもの、卵巣出血や大きな出血性黄体など排卵に関連したもの、異所性妊娠(以前は子宮外妊娠と呼んでいました)など妊娠に関連したもの、卵巣の茎捻転や進行した卵巣悪性腫瘍・子宮がんなど腫瘍に関連したものなどが考えられます。診察、超音波検査、菌などの検査、血液検査などによって診断し原因に応じて治療します。

7.不正出血・性交後出血

月経以外に出血する原因としては、ホルモンに関連したもの、腫瘍に関連したもの、感染症に関連したものの3種類があります。ホルモンに関連したものとしては、排卵頃のホルモンの変動に反応した中間期(排卵期)出血、ホルモンの変動によって起こる機能性子宮出血、閉経後などホルモンが低下したために腟や外陰部の粘膜が大変弱くなった(重症萎縮性腟炎)ために生じる出血などがあります。低用量ピルなどのホルモン剤を使用している場合に、飲み忘れや消化管での吸収が一時的に悪化して血液中のホルモンが低下するために起こる出血もあります。ジエノゲストなどのホルモン療法の薬の特徴として出血する場合もあります。腫瘍に関連した出血の原因としては、子宮体がん・子宮頸がん、極めて稀ですが腟がんや外陰がんがあります。また性交に関連した出血の原因として子宮の入り口の病変(脆弱なびらん・ポリープ・がんなど)のこともあります。感染症に関連した出血の原因としては重症の腟炎があります。いずれにせよ診察や検査が有用です。

8.更年期の不快な症状(更年期症候群)

閉経する年齢の平均は50歳頃ですが、閉経期以降の女性ホルモンが低下した状態で生じる多彩な症状を更年期障害・更年期症候群と呼びます。その多く症状は自律神経失調で、代表的な症状はホットフラッシュと呼ばれるほてりと手足の冷えが同時に起こったり(冷えのぼせ)、突然汗が出だして止まらなかったりします。その他にもふわふわと浮いているような感じ(浮遊感)のめまいや、睡眠の質の低下(寝つきが悪い・眠りが浅い・早く目が覚める)、気分の落ち込みなどの症状が見られます。治療はホルモン補充療法や漢方薬などを検査や症状に応じて適切に使います。不快な症状のすべてを更年期のせいにしてしまうと更年期症候群でない重大な病気を見逃してしまう恐れがありますので、動悸、めまい、手足のこわばりやしびれなどの症状がある場合には、それぞれ循環器内科、耳鼻咽喉科あるいは脳神経科、整形外科の診察を受けられることをお勧めしています。気分の落ち込みがひどい場合にはうつ病にも注意が必要です。

9.妊娠を目指したい
(妊活・不妊症)/(一般不妊治療)

妊娠を希望して性交を行っているにもかかわらずおおむね1年以内に妊娠できない場合は、妊娠に至る過程をチェックしていきます。子宮奇形や腫瘍関連の不妊原因がないかどうかや子宮内膜を超音波検査などでチェックします。また排卵障害を詳しく検査し、卵管が詰まっていないかどうかも検査します。男性に関しては精液検査を行います。その他精子と子宮頸管粘液との適合検査も行い、必要な方は人工受精も行っています。詳しくは「治療欄」を参照ください。当院では体外受精は行っていません。

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