当院で取り扱っている病気 当院で取り扱っている病気

1.子宮内膜症・月経困難症

子宮の内側に存在し月経の際に剥がれる子宮内膜と同様の組織が本来の場所以外のところに見つかる疾患を子宮内膜症といいます。発生する場所としては、卵巣・卵管・骨盤腹膜などが多いですが、膀胱、直腸、臍、リンパ節、肺・胸膜などにも発生することもあります。月経の際に病変部でも出血するため月経痛が強くなり、進行すると月経時以外にも痛みが生じるようになります。排便痛(特に月経中)や性交痛、骨盤痛などの痛みの症状や不妊の原因となる場合もあります。治療方法としては低用量ピルや黄体ホルモン剤(ジエノゲストなど)を用いることが多いですが、病変部での出血が貯留して卵巣のう腫(子宮内膜症性嚢胞=チョコレート嚢胞)を形成している場合には時には手術が必要となる場合もあります。

2.子宮腺筋症

子宮の壁(筋層といいます)の中に子宮内膜症の病変が発生したものを特別に子宮腺筋症と呼んでいます。月経時に子宮の筋層内で小さな出血を生じ炎症を起こして月経痛の原因となります。これを繰り返しているうちに子宮全体が大きくなり、月経量が多くなっていきます(過多月経)。治療としては低用量ピルや黄体ホルモン剤(ジエノゲストなど)を用いることが多いです。過多月経の場合には止血剤(トランサミン®)を用いたり、ミレーナ®を子宮腔内に挿入したりすることもあります。また場合によっては手術が必要となることもあります。

3.子宮筋腫

子宮を構成している平滑筋という筋肉組織由来の良性腫瘍で、比較的若い方から高齢の方までよく見られます。症状の全く無い方から、過多月経や圧迫症状の出る方まで筋腫の出来ている部位や大きさで症状も様々です。ホルモン依存性腫瘍ですので閉経頃以降は大きくなりませんが、非常に稀ですが悪性腫瘍(肉腫)が発生することも報告されています。また、超音波検査で筋腫と診断されていても実際は肉腫や低悪性度の肉腫であることも稀にあります。治療しなければならない適応のある方はその状況により、手術(色々な手技があります)、子宮動脈塞栓術(UAE)、集束超音波治療(FUS)、薬剤による「時間かせぎ療法」、条件によってはミレーナ®挿入等があります。

4.子宮頸部異形成・子宮頸がん

子宮の入り口部分に発生するがんを子宮頸がんといいます。組織型によって扁平上皮がんや腺がんなどに分類されます。日本では年間約11,000人の女性が子宮頸がんと診断され、年間約2900人の女性が子宮頸がんで亡くなっています。扁平上皮がんの99%以上、腺がんの約2/3はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。

子宮頸部の扁平上皮がんは、子宮頸部異形成という前がん病変の状態を経過してやがてがんに変化していくと考えられています。進行した子宮頸がんになる前に子宮頸部異形成の段階では発見して適切に対応すれば命にかかわるようなことにはなりませんので、症状がなくても1年に1回程度子宮頸がん検診を受けることがとても大切です。子宮頸部高度異形成や子宮頸部上皮内がん(初期がん)の段階で子宮頸部円錐切除術(子宮全摘ではない小さな手術です)を受ければ治すこともできます。HPVに対するワクチンは大変有効で、ワクチンで子宮頸がんになる方は約3分の1以下に減少します。ワクチンはすべての種類のHPVに対応できるわけではありませんので、ワクチンを受けた方でも子宮頸がん検診は必要です。子宮頸部異形成のすべてががんに進行するわけではなく自然に治癒する場合も多いですが、進行し易さを大まかに予想するために子宮頸部異形成になった方はHPVのタイプを調べます。

5.子宮体がん

       

子宮の内側に存在する子宮内膜から発生するがんです。ホルモン(エストロゲン)の関与が明らかなタイプとホルモンと無関係なタイプがあります。不正性器出血、閉経後出血がある場合や超音波検査の所見で異常を認めた場合に検査をすることが勧められています。リスク因子としては高血圧、糖尿病、肥満、近親者に乳がん・大腸がんを患った方、多嚢胞性卵巣症候群で月経不順や無月経を放置していた方などが知られています。乳がんの治療に使用するタモキシフェンも子宮体がんのリスクを高めるため、服用中は症状がなくても定期的な婦人科の診察・検査をお勧めしています。また不正性器出血があった場合は直ちに婦人科を受診してください。

6.卵巣悪性腫瘍

卵巣の細胞由来のがんが多いですが、一部のがんは卵巣外に由来しています。初期のがんは超音波検査によって偶然発見されることがあります。卵巣腫瘍には悪性度による分類(良性・悪性・境界悪性)と組織型による分類とがあります。良性・悪性の診断は、超音波検査の他、MRIやCT、PET-CTなどの画像診断が大変有用ですし、時に血液検査(腫瘍マーカー)が大変役立つこともあります。確定診断は手術による摘出物の病理学的診断となります。したがって、卵巣悪性腫瘍が疑われた場合の診断・治療には基本的に手術が必要で、悪性と診断された場合は進行度合いによっては抗がん剤治療(化学療法など)が行われます。良性の卵巣腫瘍も非常に多くの種類がありますが、代表格は成熟奇形種(皮様嚢胞腫ともいいます)と子宮内膜症によるチョコレート嚢胞(子宮内膜症性嚢胞→子宮内膜症の項を参照してください)です。

7.成熟奇形種(皮様嚢胞腫)

卵巣から発生する良性腫瘍で、比較的若い年齢の方に多く見られ珍しい病気ではありません。通常は良性ですが、稀に悪性の場合(未熟奇形種)があります。また、将来がん化する場合がありますので、発見されたら大きさにかかわらず一生のうちには必ず手術が必要です。同じ卵巣に再び見つかったり、反対側の卵巣に同時期にあるいは時間差で見つかることもあります。

8.腟炎・外陰炎

       

膣や外陰部の炎症でおりもやかゆみの原因となります。原因として、カンジダ・トリコモナス原虫・細菌の他、かぶれ(接触性炎症)があります。外陰部・膣カンジダ症はカンジダの増殖によって起こりますが、このカンジダはカビの一種で水虫の原因の真菌と近い種類に分類されますが別の種類の真菌です。おりものの顕微鏡検査や培養検査で診断します。治療には通常抗真菌剤の膣錠とクリームを用いますが時に経口剤を用いることもあります。真菌が粘膜や皮膚の表面にだけ存在している場合は比較的容易に治癒しますが、こじらせて真菌が粘膜や皮膚の深くに侵入すると難治性になりますので、その都度的確に治療することが重要です。産科婦人科学会のガイドライン通り6回の洗浄・膣錠の挿入とクリーム塗布を勧めていますが、1週間以上受診できない場合はご自身で膣錠を挿入していただきます。細菌性膣炎や細菌性膣症の場合は、抗菌薬の腟錠で治療します。かぶれの場合は適応クリームを処方します。

9.性感染症【クラミジア・淋菌・トリコモナス・外陰ヘルペス・尖圭コンジローマ・梅毒・エイズ(HIV)】

文字どおり性行為で感染する病気です。クラミジアと淋菌は子宮頸部の粘液でPCR法を用いて核酸を検出する検査をします。初回の治療は、クラミジアは抗菌薬の内服1回、淋菌は抗菌薬の点滴1回ですがそれで治癒しない場合は別の薬剤を用います。パートナーの方も同時に治療することをお勧めしています。治療後必ず病原体の消失を確認する検査を行いますが、非常に高感度の検査で死んだ病原体でも陽性になってしまいますので、治療後3週間以上経過してから検査を行います。クラミジアや淋菌は症状がほとんど無いことも多く、妊娠初期のスクリーニング検査で発見される場合もあります。トリコモナスは腟内のおりものの顕微鏡検査で診断し、内服薬あるいは腟錠で治療します。

9.性感染症【クラミジア・淋菌・トリコモナス・外陰ヘルペス・尖圭コンジローマ・梅毒・エイズ(HIV)】

外陰ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによって外陰部に水疱や強い痛みを伴う潰瘍を生じます。初感染時に発症した場合には発熱など全身の症状を伴うことも稀にありますが、初感染時は無症状で経過することもあります(不顕性感染)。一旦感染するとウイルスは神経細胞内に定着してしまうため治療で排除することができず、再発を繰り返すこともあります。風邪などの体調不良やストレスなどが再発の誘因になります。尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(子宮頸がんの原因となるウイルスとはタイプが異なります)の感染によって発症します。放置すると増大し拡がっていきます。外陰部の場合は抗ウイルス薬のクリームで治療できますが、高周波での切除や焼灼を必要とする場合もあります(この場合局所麻酔等の麻酔を行います)。単純ヘルペスウイルスと尖圭コンジローマのウイルスは新生児・乳幼児に影響する場合があります。梅毒(近年増加が危惧されています)とHIVウイルス感染症の診断には血液検査が必要です。

10.骨盤腹膜炎・子宮付属器炎(卵管炎・卵巣炎)・子宮内膜炎・子宮頸管炎

女性の身体は、腟・子宮・卵管を通り抜けると体外から腹腔内に通じています。この経路で淋菌などの細菌やクラミジアなどの病原体が体内に侵入し炎症を生じた状態を、炎症の中心となっている部位によって骨盤腹膜炎や子宮付属器炎(卵管炎・卵巣炎)といいます。子宮の入り口(子宮頸管)付近で炎症がとどまっている場合を子宮頸管炎といいます。主にクラミジアが腹腔内に広がって肝臓の周囲に膿瘍を形成し(Fitz-Hugh-Curtis症候群)上腹部痛の原因となる場合があります。

11.卵巣出血・出血性黄体

排卵の際に卵巣内に少量の出血が溜まることは通常の現象ですが、大量に出血した場合に血液が腹腔内に拡がったり、また卵巣内に血液が溜まると腹痛の原因となります。歩行などの振動で肛門の奥に痛みを感じることもあります。多くの場合自然に止血しますので経過観察が基本ですが、出血が多量で自然に止血しない場合には手術が必要となることもあります。

12.異所性妊娠 (子宮外妊娠)

正常の妊娠では子宮内膜の部分に着床して妊娠が成立しますが、子宮内膜以外の部分に着床してしまった妊娠を異所性妊娠(以前は子宮外妊娠と呼んでました)といいます。尿検査の妊娠反応で妊娠していることがわかったら、胎嚢が子宮内の正常の位置に見えてくるかどうかを超音波検査で確認します。腹腔内に出血した場合は下腹部痛を生じることが少なからずあります。子宮内に胎嚢が認められず異所性妊娠の可能性が高いと診断した場合には直ちに緊急に対応可能な病院に紹介しています。

13.骨盤臓器脱
【子宮脱・子宮下垂・膀胱瘤(脱)・直腸瘤(脱)など】

骨盤底を支えている筋肉や筋膜が弱くなったり断裂したりしたために子宮や腟壁が下垂したり、膣入口部から出てきてしまったりすることがあります。腟壁は前は膀胱壁と、後ろは直腸壁と接しているため、腟壁が下がると膀胱あるいは直腸が一緒に下がってしまい排尿や排便に支障をきたすことがあります。尿を出し切ることができず、頻尿や膀胱炎の原因となることもあります。治療としては骨盤体操が第一選択として推奨されていますが、生活に支障がある場合は腟内に支えとなるペッサリーを挿入したり、場合によっては手術を行います。

14.不妊症(当クリニックは一般不妊治療施設基準の認定を受けています)

症状の項を参照してください。

15.更年期症候群

症状の項を参照してください。

16.妊婦健診

       

妊娠32~34週頃までの妊婦健診は当クリニックで出来ます。ご希望の分娩施設へ適宜紹介しています。 尚、4Dエコー検査もしています。

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